ターボ車のエンジンオイル
- 先月新車購入の検討をしていましたが、結論としてSUBARU Forester XTに決めました。私自身初のターボ車です。来月予定の納車を楽しみに待っている状態です。納車されたらどうしようかなといろいろ考えているわけですが、ふと「エンジンオイルの管理は...」という疑問が湧きました。
- エンジンオイルの種類を調べるためForesterの取り扱い説明書を見たところ、サービスデータの章に記載があり
- ターボ車使用OK : SN 5W-30, SM 5W-40, 0W-30
- ターボ車使用NG : SN 0W-20
となっていたのですが、何が違うのかよくわかりませんでした。種類の意味もわかりません。管理すべきものがわからないのはトラブルの元なので、今回は良い機会として調べてみることにしました。
エンジンオイルの役割と粘度
- エンジンオイルの役割を調べたところ、主に下記の五種ありました。
- 潤滑 : エンジン部品同士の摩擦をオイルの油膜で抑える
- 密封 : ピストンとシリンダーの隙間を塞ぎ、パワーロスを防ぐ
- 冷却 : 高温になるエンジン部品を冷却する
- 洗浄 : 燃焼と運動で発生する汚れを吸着して分散する
- 防錆 : 温度差で発生する水蒸気による錆を防ぐ
- これらの役割をエンジンオイルが果たすためには、使用される温度の中で、ある範囲の粘度を保っていなければなりません。一般に液体は温度上昇に伴って粘度が低下します。よってエンジンオイルに要求される粘度とは
- 高温 : エンジンが動いている際は100〜150℃の範囲で粘度を高く保てる
- 低温 : エンジン始動時は外気温-20〜-30℃前後で粘度を低く保てる
のように、高温時の粘度と低温時の粘度、両方を意識することになります。
- 関東地方に住んでいれば外気温-20〜-30℃は滅多にありませんが、私の車の使い方では、真冬の標高1500mで一晩車を放置することもあるので、低温時の粘度も見逃せないエンジンオイルの仕様になります。
SAE規格と粘度
- 先ほどオイルの種類を調べたときに「5W-30」等の表示がありました。これがSAE規格の表示で「低温粘度-高温粘度」を示しています。低温粘度側に含まれるWの文字はWinterを意味しているそうです。
- 始めに低温粘度側を説明します。低温の場合オイルの粘度は高くなります。あまりに粘度が高すぎると、オイルポンプでエンジンにオイルを循環させることができなくなります。従って低温でもオイルを循環させることが可能な程度に、オイルの粘度は低く保たれる必要があります。SAE規格の「○○W-」はオイルの低粘度が保たれる外気温の目安を表しています。-30℃+○○℃と見れば良さそうです。
SAE低温粘度 |
0W |
5W |
10W |
20W |
外気温 |
-30℃ |
-25℃ |
-20℃ |
-10℃ |
- 次に高温粘度側です。高温の場合オイルの粘度は低くなります。あまりに粘度が低すぎると、エンジン部品内で油膜が切れてしまい、パワーロスや部品ダメージなどの問題が出ます。SAE規格では100℃での測定結果を基準にして高温時の粘度を表します。数字は20〜60の範囲で、より数字の高いものが高温時でも高粘度を保っています。
API規格
- ここまでエンジンオイルについて温度と粘度の関係を見てきましたが、自動車用すなわち4ストロークエンジンのオイルは、エンジン内を循環して何度も使用されるため、低温/高温粘度以外に省燃費、耐熱、耐磨耗、耐酸化などの性能も要求されます。オイルの種類で、SMやSNという文字が入っていましたが、これがAPI規格で定められたグレードです。
- ガソリンエンジン用のAPI規格はSから始まり、SA,SB,SC...とグレードが上がっていきますが、最近市場に出回っているほとんどがSL,SM,SNです。SNグレードは2010年に制定されているため、そろそろSOが出てくるのかもしれません。また各メーカはSNグレードの従来商品より低燃費を意識したオイルに独自の名称を付けている様子です。
- ちなみにディーゼルエンジンオイルのAPI規格名はCから始まります。最近ではほとんどCF,CF-4です。ガソリンエンジン用とディーゼルエンジン用オイルの違いを説明すると、ディーゼルエンジンオイルには軽油燃焼時に発生する硫黄酸化物による腐食を防止するため中和剤が添加されています。よってグレードが合えばディーゼルエンジン用オイルをガソリンエンジンに使用することは可能です(お勧めという意味ではありません)。CF/SM等と表示している商品もあります。同じ理由からガソリンエンジン専用オイルをディーゼルエンジンに使ってはいけないとも言えます。
どんなオイルを選ぶのか
- 規格と意味がわかったところで、Forester XT向けとしてどのエンジンオイルを選ぶかですが、商品の傾向から言って、5W-30〜5W-40のSNを選ぶのが良いと思われます。同じ5W-30でもECO性能を重視している場合、高温側の粘度が落ちているかもしれません。粘度とグレードの両方を合わせつつ、口コミなども調べながら選んでいくことになりそうです。
- Forester XTの工場出荷時オイルは ECO 5W-30 です。ECO...どうやら低燃費を意識したオイルで、5W-30を満たしつつ少し低粘度寄りかと思われますが、今度ディーラーで確認してみます。予想通りなら街中走行は良さそうですが、山道のように高回転で走る場合はどうなのだろうか...。高速は巡航に入ればCVTなので低回転だとしても、やはり山道走行が多い私としては、1回目の交換で通常のSN 5W-30に変更したいところです。そして感覚的に40,000km程度走行後か...パワーが落ちている感じがしたら、SN 5W-40に変更でしょう。
いつオイルを交換するのか
- 取扱説明書を見ると「10,000kmか1年かどちらか早い方」が交換の基準になっています。運転条件が厳しい(エンジンの高回転使用頻度が高い)場合、オイルの消費が早くなるので、補充/点検も早めにすることをお勧めしますとも書いてありました。
- 「運転条件が厳しい(シビアコンディション)」は、高回転域を使う機会が多いという意味なので、山道走行以外に加減速の多い街中走行も含みます。つまり、私のようにレジャーをメインに使う場合は高速走行がほとんどですが、行き先の傾向から高速以外は山道が多いので...どちらかといえばシビアコンディションかな?
- シビアコンディションに該当する場合、5000kmを越えたあたりからオイルゲージをチェックして、減りが早ければ交換になるのだと考えます(オイルゲージチェックは日常点検の一つですが)。それを判断するために交換直後のオイルゲージ量を把握しておくことは必須ということになります。新車の場合は最初減りが早いと予想されるので、安定期に入るまでマメなチェックが必要になるでしょう。
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