ホームネットワーク構築(4)
2017/08/19
インターネット接続の前にLANを理解する
  • 以前(*1)のレポート「ホームネットワーク構築(2)」で説明したように、インターネットはネットワークを相互に接続したものです。よって、家庭ネットワーク機器をインターネット接続するとは、家庭でローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)を組み上げ、そのLANをインターネットの一部として接続することを意味します。

  • 本レポートのタイトルにある「ホームネットワーク」という言葉は「家庭内で組んだ小規模LAN」を指しています。今回この小規模LANの構築について説明します。

Ethernet と TCP/IP
  • Ethernet(イーサネット) と TCP/IP ... この言葉に対してすでにアレルギー反応がある方も多いと思いますが、LANを組む際には避けて通れません。なので我々ユーザから見て何なのかをざっくりと言います。
    • Ethernet : ネットワーク機器(ハードウェア)の接続規格
    • TCP/IP : ネットワークアプリケーション(ソフトウェア)のデータ送受信規則

  • いや...まだこれでもピンと来ないですよね。EthetnetやTCP/IPについてGoogle先生に質問すると、詳しすぎる回答で心が折れることがほとんど(*2)と思いますが、ここで目指すのは「使いたい範囲で使う」こと、そして「トラブル発生時に原因を見つけ出せる」ことなので、深入りし過ぎないよう意識しつつ、具体例を見ながらイメージを作るようにしていきたいと思います。

シンプルな有線LAN
  • 設定云々のことは置いて、物理的にネットワークを繋げなければ何もできません。最も簡単な例としてPC2台を接続したLAN(*2)を組んでみましょう。

    図1 : PC2台の有線LAN

  • 注目する要素は下記の3点です。
    • LANケーブル : カテゴリ6(5e以上), ストレート
    • ハブ : 1000BASE-T対応, スイッチングハブ
    • PCの対応Ethernet規格 : 今時のPCは大抵1000BASE-T対応

LANケーブルのカテゴリ
  • LANケーブルは電話線に似たちょっと大きいRJ45端子を持ったツイストペアケーブルです。

    図2 : LANケーブル

  • このLANケーブルにはカテゴリ(Category)と呼ばれる品質規定があり、通信速度(Ethernetの規格)によって、使用すべきカテゴリが決まっています。

    表1 : LANケーブルのカテゴリとEthernet規格対応

  • 表1の「1000BASE-...」と書いてあるのがEthernetの規格で、数字はMbps単位の速度を表しています。よって「1000BASE-...」は1000Mbps(=1Gbps)になります。最近のPCは1000BASE-Tを普通にサポートしていること、そしてCAT6とCAT5eケーブル価格差はほとんど無いので、CAT6ケーブルを選べば問題ないです。尚、高速の規格は低速の規格も含んで動作(*3)するので、高速側を選べば間違いありません。

  • ちなみにEthernet規格はケーブルの種類も決めています。表1では「...BASE-T(X)」と書かれていますが、この「T」がツイストペアケーブルを意味しており、小規模LAN用のケーブルとしては事実上一択です。

  • あとLANケーブルにはストレートとクロスという分類もあります...が...ここはストレートを使用して下さい。これはちょっとややこしいので、別途説明しますが、最近の機器でクロスケーブルが必要になることはほとんどありません。

ハブの種類
  • ハブ(Hub)はLAN内の集線装置です。下の写真はハブ単体ですが、ルータ等の装置にはハブが含まれている場合が多いので、ホームネットワークでは単体ハブを見たことがない方もいらっしゃるでしょう。

    図3 : ハブ

  • ハブにはスイッチングハブとリピータハブの二種類があります。スイッチングハブを選んで下さい。とは言うものの、最近ではリピータハブを見つけるのが難しいという状況なので、あまり気にする必要はないです。

  • よってハブを選ぶ際にチェックするのは、対応速度/Ethernet規格になります(*4)。スイッチングハブの価格は下がっているので、ギガビットつまり1000BASE-T対応のハブを選んで良いと思います。

  • ケーブル接続時の注意点として、絶対にループ接続をしてはいけません。そんなことはしないと思うかもしれませんが、ハブは物陰に置かれることが多く、見にくい場所でゴソゴソ作業するせいか、このチョンボは思ったより多い頻度で発生します。ネットワーク全体がダウン(*5)し、下手するとOSも固まります。単純ミスですが非常に凶悪な結果をもたらします。

PCのネットワークインターフェース
  • これも...ここ数年のデスクトップ及びノートPCの有線ネットワークインターフェースは、ほぼ全て 1000BASE-T をサポートしています。

  • 非常に古いPC、例えばWindows7以降のOS稼働を諦めて、Linuxを使っている機器等で、100BASE-TX があるかなというレベルだと思います。

次回は
  • 物理的な接続と、その機器選択について説明しました。次回はPCのネットワーク設定について説明予定です。
Notes
  • 前回のレポートは「ホームネットワーク構築(3)」でしたが、説明の順番を間違えたと思っています。今回のレポートは「ホームネットワーク構築(2)」の続きだと考えて下さい。
  • スマホじゃないの? と言われそうですが、まずは有線LANですので。
  • オートネゴシエーションという機能で、遅い機器と規格が混ざっていれば、遅い側に合わせて動くようになります。ボトルネックを取り去れば速度が上がるので、ネットワーク部品購入は懐具合を見ながら高速規格側を選びます。
  • その他VLAN(Virtual LAN)やリンクアグリゲーション(Link Aggregation)の機能等ありますが、小規模オフィスならともかく、ホームネットワークで使うことは無いと思います。
  • ブロードキャストストームと言います。小規模オフィスで年末大掃除等すると、誰かしらがこれをやらかします。
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