ホームネットワーク構築(7)
2017/09/09 (2017/09/10 updated)
PCのTCP/IP設定(3):DNSサーバー
  • 今までLAN内ホストに対して、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイのTCP/IP設定を行ってきました。今回は最後の設定項目となるDNSサーバーを扱います。


    図1 : LAN内ホストのTCP/IP設定

  • このDNSサーバに設定する値ですが、ホームネットワークレベルのLANでは大抵下記のどちらかで、ほとんど前者です。
    • ルーターのLAN側IPアドレス (デフォルトゲートウェイと同じ)
    • ISPから提示される2個(優先/プライマリ, 代替/セカンダリ)のIPアドレス

DNSは何をしているか
  • そもそもDNSとは何かを簡単に説明します。DNS(Domain Name System)はネットワーク上のホスト名(*1)をIPアドレスに変換する機能を持ちます。

  • 例えば、我々はGoogleで検索をするとき「http(s)://www.google.co.jp」にアクセスしますよね。今までアクセスするホストの指定にはIPアドレスを使ってきましたが、上記アドレス表記にIPアドレスの数字は全く出てきません。これはDNSがネットワーク上のホスト名をIPアドレスへ変換することで可能になっています。

  • 試しに、Windowsマシンであればコマンドプロンプトで、下記のようにコマンドを入力して下さい。
      > ping www.google.co.jp
    すると下記のレスポンスがあると思います。

    www.google.co.jp [172.217.27.67]に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
    172.217.27.67 からの応答: バイト数 =32 時間 =8ms TTL=53
    172.217.27.67 からの応答: バイト数 =32 時間 =8ms TTL=53
    ...

  • これは「www.google.co.jp」というネットワーク上のホスト名が、DNSによって「172.217.27.67」(*2)のIPアドレスへ変換されていることを意味します。


    図2 : DNSサーバーの名前解決

優先DNSサーバーと代替DNSサーバー
  • ここまで説明したようにDNSサーバは非常に重要(*3)です。インターネット上の多くのアクセスは「ホスト名」経由で行われているため、もしDNSサーバにトラブルがあるとインターネットの中で迷子になります。そのためDNSを運用する場合、優先(プライマリ)サーバーとバックアップ用代替(セカンダリ)サーバーの2台を用意することになっています。

  • ホームネットワークの場合DNSは各ISPで用意されているものを利用(*4)します。素直に考えるとLAN内ホストのDNS設定には、ISPが準備する優先DNSと代替DNSのIPアドレスを書くわけですが、実はこの情報はルータが持っているため、大抵の場合LAN内ホストはルータのアドレスを優先DNSサーバとして指定し、代替サーバ指定は空にするでOKになります。

LAN内ホストTCP/IP設定の現実と次回
  • ホームネットワークのLAN内ホストTCP/IP設定について説明してきました。まとめると下記になります。
    • IPアドレス : ネットワークアドレス(192.168.0.0〜192.168.255.0) + ホストアドレス(1〜254)
    • サブネットマスク : 255.255.255.0
    • デフォルトゲートウェイ : ルータのLAN側IPアドレス
    • DNSサーバー : ルータのLAN側IPアドレス

  • しかし現実では、LANにPCを接続する際に「こんな設定した記憶は無いよ」という方がほとんどではないでしょうか。大体PCを持っていってLANケーブルに繋げれば使えるようになるという認識でしょう。

  • これは、あるLANにPC等のネットワーク機器を接続したとき、その機器が接続設定情報(上記4項目)を要求すると、LAN内のサーバ(ホームネットワークではルータ)が設定情報を渡す仕組みで実現されています。DHCPと呼ばれるものです。次回はこのDHCPについて説明します。
Notes
  • あれ?ホスト名になってるよ?ドメイン名はどこにいったの?と思われた方は、FQDN(Fully Qualified Domain Name)を調べて下さい。インターネット上でホスト名はFQDNとして表現されます。
  • ちなみにGoogleのIPアドレスは刻々と変わります。
  • DNSそのものをネットで調べると非常に細かい説明が出ています。ドメインツリーだ分散協調型データベースだリゾルバだキャッシュだとあまりの過多情報に飲み込まれそうですが、これはDNSサーバを設置する人向けの情報です。ホームネットワークはDNSを利用するだけの立場なので、このレベルの情報を意識する機会は皆無です。
  • 原則ホームネットワーク内のホストはインターネット上のサーバにはならないので、自前でDNSを作る必要が無いからです。しかしポートフォワーディング+DDNSでサーバ化することも可能です。
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