USB-DACとPCオーディオ(1)
2018/06/10
まぁ最後はアナログになるから
  • 気付くとステレオコンポのようなオーディオ機器は使っていません。20年前に購入したミニコンポはプレイヤーとしては全く使用されておらず、専らリビングにあるPCのオーディオ出力アンプ(*1)になっています。

  • じゃあ音楽を聞いていないかと言われれば、そんなことはなく、大抵はPC上のプレイヤーか、iPod(*2)等の携帯プレイヤ−で聞いています。あとは...ドライブ中ですね。このiPodをBluetoothでカーオーディオに接続して聞いています。ああ、ドライブの度に「お気に入りCD」を選んで持ち込んでいた昔が懐かしい...。

  • それでも気まぐれに「きちんと聴きたくなる」こともあり、部屋に置いてあるPCのPhone端子にイヤホン(*3)を接続して、音量を上げてみたりしますが、何かこう...ノイズがあります

  • でも、そりゃ当たり前です。PC内のオンボード上サウンドチップにデータを入れる前はデジタル扱いかもしれませんが、最後出力のためにDigital-Analog変換(D/A変換)して、そのアナログ部でノイズが乗ってしまうわけですから。PC内はケースファン等のノイズ源も多く、これは仕方無い事かと。


    Figure 1: PC内のDA変換でノイズが入る

アナログ変換部をPCの外に出す:USB-DACを使おう
  • 今までは「これでも良いかな...」と思っていましたが、今回は不思議と「どうにかしたい」と感じました。どうにかする方法は簡単です。音楽データはデジタルのままPCから出し、D/A変換をPCの外で行えば良いのです。そのためにUSB-DACを導入することにしました


    Figure 2: USB-DACによりDA変換をPCの外で

  • USB-DACにはポータブルタイプと据え置きタイプがあります。ポータブルタイプの多くはUSBバスパワーで駆動します。ですが、今回問題にしているのはPC側の電源ノイズがDA変換部のアナログ側に影響を及ぼしている(*6)ことなので、独立電源で駆動する据え置きタイプを選択することにしました。

  • 等と書いてはいますが、実のところ久しぶりにオーディオ機器を購入することもあり、ある程度良いものが欲しいという気持ちが強かったことも据え置きタイプを選んだ理由の一つです。

  • そこで某通販サイトを見たりするわけですが、相変わらずオーディオの世界は普通の人向けからマニア向けまで値段がピンキリ過ぎます(*4)。オーディオ機器の場合、普通の人向けカテゴリの上位機種は4万円が基準だと思うので、それ以下の価格帯で探すと結構ありました。次はそのUSB-DACをどう使いたいかという観点で絞り込みます。

  • 今回購入するUSB-DACで扱いたい入出力はFigure 3のようになります。

    Figure 3: USB-DACで扱う入出力(希望...こんなのが欲しいな)

  • スピーカーへの出力がRCAであることに違和感があると思いますが、これはアンプ内臓のスピーカーだからです。つまり、スピーカーを駆動するためのメインアンプは不要。ヘッドホンを鳴らす程度のアンプ...プリアンプ寄りのプリメインアンプで良いことになります。

  • 次は入力ですが、USB入力はUSB-DACなので絶対にありますね。そしてもう一つはBluetoothです。スマホやiPodの音楽データを、このUSB-DAC経由で聞くときはワイヤレスで扱いたいのです。そしてPCからのデジタル入力には「USB以外にS/PDIFも選択肢の一つにあるのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかしPCからの入力はUSB以外考えていません(*5)

  • そして希望の入出力構成を持つUSB-DACを探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。Bluetooth入力とRCA出力の両立が厳しいです。そこで将来の拡張を意識してRCA出力を必須とし、Bluetoothは別途レシーバで受けて、他のS/PDIF等のデジタルIFへ変換することにしました。結果として、値段も考慮しつつ選んだのは TEAC UD-301-SP でした。


    Figure 4: USB-DACで扱う入出力(現実の構成)

使ってみた:かなり良くなったけど
  • とりあえず今回入手したUSB-DACをPCに接続し、実際に音を聞いてみます。おお、かなり良くなった。ちょっと気になっていたノイズは消えています。ボリュームを上げても大丈夫です。iTunes越しにMP3再生データを聴いただけでも、感触が変わります。

  • さて、このUSB-DAC:TEAC UD-301-SPハイレゾ対応となっています。うーんハイレゾって何? 耳がハイレゾ対応じゃないだろう私には意味あるのという素朴な疑問が。

  • それにUSB-DAC用のドライバをインストールする際に、いろいろ設定しましたが、その内容がよく理解できませんでした。ドライバだけでなく再生ソフト側にも設定があるし、何がどこに効くのかさっぱりわかりません。

  • 何だかこの感じは、2001年頃に無線LANを導入したときと感触が似ています。素人お断り(ちゃんと勉強してね)的な雰囲気ですね。なので、次回はPCのデジタル音楽データ環境をソフトの観点から整理したいと思います。

追記:接続USBケーブルの品質
  • 購入したUSB-DACには「高品位USBケーブル」が付いていました。ケーブル長70cmだったため、設置場所の問題で使えていません。しかしPCM音楽データはUSBを介したデジタル転送なのにケーブル品質の話が出るのは不思議だったので少し調べてみました。

  • USBには下記2種類の信号しかありません。
    • 電源(Vbus), グランド(GND)
    • 差動デジタル信号(D+, D-)

  • それぞれについて音楽再生へ影響を与える事柄(故障モード)には下記があると思います。
    • 電源(Vbus), グランド(GND)にノイズが乗る
      • DAコンバータのアナログ電源に影響を及ぼす。(今回のUSB-DAC購入主目的は本項目の改善)
    • デジタルデータが化ける
      • デジタルデータが異なるため、実際とは違う音圧が再生される。

  • USB-DACのUSBが使用するデータ転送方式はアイソクロナス(Isochronous)転送です。このアイソクロナス転送は正確なデータ転送ではなくある期間に一定量のデータ転送が行われることを重視します。エラーがあってもリトライ(再転送)しません。

  • では実際にエラーの影響を聞き取れるだろうかと考えた場合、それは「わからない」のではないかと思います。

  • 16〜24bitの音圧データに散発的エラーがあったとして、そのオリジナルと異なるデータはサンプリング周波数である44.1kHzの領域にあることになります。恐らくそれは聴こえないでしょう。そして感じ取れるレベルで転送エラーが頻出する場合、USBのtransactionとframeが崩れるレベルを意味するので、音が出る出ないという問題になると思います。

  • 結局のところ、聴き心地で差が出るとすれば、それはUSBケーブルの電源ノイズがどれだけDA変換のアナログ動作(電源ノイズとクロックジッタ)に影響するのかという話にしかならないと考えます。

  • PCオーディオにおいてUSBケーブル品質を向上させるとは、いかにしてPC内部からもしくはケーブル外部環境からUSB電源ラインに入るノイズを少なくし、USB-DAC内アナログ回路への影響を小さくするかを検討する一手段なのだろうと思います。
Notes
  • CD/MD/カセットプレーヤーですよ。もうプレイヤー部は動かないかもしれないです。回したらベルト切れるとか。
  • ランニングのとき持つには、スマホでなくiPod nanoが小さくて使いやすいのです。もう5年は使ってるか...
  • そう、イヤホンです。ヘッドホンじゃない。リスナーとしてのレベルをご理解頂けたと思います。
  • 秋葉原のオーディオ専門店に入り値段に愕然。店員さんからの視線で気づいた「ココハチガウ」感を思い出します。
  • S/PDIFだとほぼ直結しかできないからです。もしPCとUSB-DACを離れた場所に置きたくなったときはUSBが必要になります。え? 長いUSBケーブルを使う? いえ、無線ネット越しにUSBを繋げます。一昔前にネットワークIFが無いプリンタをネットワーク越しに使うのと同じ方法ですね。
  • USB 4線の電源(Vbus)とグランド(GND)ノイズが問題なので、セルフパワーのUSBハブを経由して電源を切り替えると、バスパワータイプでも良くなるかもしれない...けれど確かめる環境がありません。ごめんなさい。
2018-06-10 : 初版。
2018-06-10 : 最終セクションの内容を変更。
2018-07-08 : 据え置きタイプ選択の理由追記。
2018-07-15 : 追記:接続USBケーブルの品質 追加。
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