SuicaとFeliCaとNFC(2)
2019/07/28
FeliCaの無線通信はNFCに含まれる
  • 前回のレポートではSuicaカードとおサイフケータイに搭載されているFeliCaについて説明しました。FeliCaは近距離無線通信規格の一つですが、FeliCa以外のメジャー近距離無線通信規格であるMIFAREと統合した規格がNFC(Near Field Communication)です(*1)

    Figure 1. NFCとFeriCa,MIFAREの関係

  • しかしNFCの解釈には注意が必要です。Figure 1のようにNFCが定めているのは図中右半分の無線通信部分のみです。SE(Security Element)内のデータ処理については何も決めていません。それはシステム側に依存します。

  • キャッシュレス決済のNFCアプリケーション例としてクレジットカードの認証がありますが、これにはMIFAREが適用されています。このMIFARE(Type-A又はB)規格による通信がNFC使用時のデファクト/グローバルスタンダードです。つまり下記のようになります。

    • ある機器がNFCをサポートするとき
      • MIFARE : 使用できる。デファクト/グローバルスタンダード。
      • FeliCa : システム/機器に依存する。日本ではメジャー。海外では「ナニソレ?」

  • これが海外製やSIMフリースマホで、FeliCaを使えない機器(*2)が存在する理由です。

しかもFeliCa規格はハードルが高い
  • しかし一部の人は「いや、RF部以降のデータはデジタルだから、暗号化も含めてソフト処理すれば良いのでは?」と思ったでしょう。私もそうでした。

  • NFC搭載スマホのMIFAREに対する実装は、SE部相当のデータをSIMカード内に置いて、暗号化処理などはシステム/アプリケーション等ソフト処理で対応しているようです。FeliCaも同じようにすれば問題ないと考えるのが普通でしょう。


    Figure 2. FeliCa非対応NFC搭載スマホ

  • しかし、FeliCaがソフト処理できない理由...それは前回レポートで説明した「処理時間0.2sec以下」という仕様です。この仕様を満たすためにソフト処理では間に合わず(*3)、現状ではFeliCa SEをハードとして機器に持たせる必要があるのです。


    Figure 3. FeliCa対応NFC搭載スマホ

  • 海外製スマホの代表格であるiPhoneは、iPhone7からSuicaに対応しています。これは「iPhoneがFeliCa-SEを内蔵したNFCチップを搭載した(*4)ことを意味します。当時話題になりましたが、確かに驚く内容です。

  • FeliCaを利用するには、FeliCa SE内のデータをハンドリングするソフトウェア(FeliCa OS,図中のdriver)ライセンスも必要なので、FeliCaを使用しない地域(日本以外)向けのiPhoneは、ハードは同じでもFeliCaの機能を無効にしているようです。

  • SuicaからNFCに話が及びましたが、日本国内のNFCによるキャッシュレス決済を理解するには、FeliCaとNFCの関係を把握し、その決済手段がFeliCaなのか違うのかを認識することが大事です。

  • 次回は海外と日本の決済手段の違いとNFCの関係を扱いたいと思います。
Notes
  • 規格名が、意味そのままですね。
  • iPhoneで言えば、iPhone6以前が使えません。
  • 良心的に解釈すればです。あとはセキュリティコードを書き換え不能としてハードに置いた場合。
  • ネットを漁ると、そのiPhone搭載チップがNXP製の67V04らしいことがわかります。それにしても漢前な対応です。
Copyright(C) 2019 Altmo
本HPについて