60歳貯金と2000万円(1)
2019/12/31
今年話題になりました
  • 2019/6/3、高齢社会における資産形成・管理と題された報告書を金融庁が公表し、大きな話題となりました。その話題になった一言とは、報告書の26ページに記された「不足額の総額は単純計算で 1,300 万円〜2,000 万円になる」です。

  • これを見たとき感じたのは「うん。投資信託のパンフだ。これ(*1)です。ちなみに上記の報告書は「個々人や金融サービス提供者はどういった対応が考えられるか」という提言につなげているので、趣旨に沿っているとは言えます。

  • 内容はともあれ「自分はどうだろうか?」と考えるきっかけになったのは確かです。そんなわけで、今回は60歳(退職)時点での貯金と、サラリーマンの老齢年金(*2)について少し調べてみることにしました。

60歳時点の貯金額...お金持ちっているんだなぁ
  • まず最初に調べたのは「60歳(定年)時点での貯金ってどの程度?」です。ここで多くが2000万円を持っていれば、先の報告書が炎上することは無いので、恐らく違うのでしょう。

  • この情報についてネットを検索すると、比較的簡単にPGF生命保険の調査結果(下記)を見つけることができます。

    • Figure 1 : PGF生命保険 60歳貯蓄調査結果

  • 棒グラフの場合単なる項目なら良いのですが、上記の棒グラフ要素は貯蓄額の幅がバラバラなので見にくいと感じました。

  • そこで横軸を100万円単位とし、その貯蓄額の範囲で人数分布が平均化されている(*3)としてグラフを作ってみました。青線が貯蓄額に対する人数分布です。更に人数と貯蓄額の累積を追加しました。

    • Figure 2 : 60歳貯蓄額分布

  • 貯蓄2000万円未満は全体の約7割
    • グラフ中のA点が、貯蓄2000万円と累積人数分布の交点です。68.72%...約7割は2000万円未満です。
    • なるほど、これは炎上しますね。
    • ちなみにグラフ中のB点は、この7割が持つ貯蓄額が全体の13.7%であることを示しています。

  • そして全体の5割は1000万円未満
    • 次はグラフのC点ですが、累積人数分布が5割の点です。その貯蓄額は800万円です。1000万未満です。
    • グラフ中のD点から、5割が持つ貯蓄額は全体の5.5%でしかないことを示しています。

  • 上位1割が総貯蓄額の5割を持っている
    • E点が、累積人数分布9割を示します。貯蓄額8800万円...エベレストっぽい数字。
    • そしてF点が、全体の9割の人で占める貯蓄累積額...あれ? 5割弱?
    • つまり...総貯蓄額の5割は、上位1割の人が持っているわけです。うーん、お金持ちすごいな。

    • Figure 3 : 貯蓄額人数分布と累積貯蓄分布

でも上位1割って多すぎでは?
  • 60歳貯蓄8800万円以上の猛者が1割はいるという結果ですが、正直言って実感と合いません1割って結構多いです。10人に1人です。ちょっと人が集まれば、ほぼ必ずいることになりますが、そんな感じはありません。

  • ちなみに私はサラリーマンです。そして私の周りにはあまりいない...つまりサラリーマンではかなり出世しない限り、上位1割には入り込めないと思われます。

  • そして上位1割を占めるほとんどの人はサラリーマンではなく、事業経営している人なのだろうという予測が付きます。これは...まぁ...大変なので稼いで然るべきということになりますね。

次回は
  • 貯蓄額については、現状把握のみです。そもそも2000万円必要と言われても、自分の60歳以降の収入がどうなるか把握してからでないと反応できませんから。

  • 次回はサラリーマンの老齢年金を扱います。
Notes
  • 金融リテラシの向上には間違いなく貢献していると思います。まさかの炎上商法。
  • 年金を計算する条件はいろいろありますが、ここでは卒業後ずっとサラリーマンとして働いてきた人だけ扱います。
  • 1億以上の貯蓄をもつケースについては、2億を上限として100万単位で均等にしています。本当は上限含めて違うと思いますが、正直よくわからないのとグラフ傾向は変わらないので。
2019-12-31 : 初版
2020-01-02 : Figure 3追加
2020-01-07 : 感想を修正
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