イメージファイルとオーディオCD(2)
2020/01/26
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そもそも isoイメージファイル とは
- 前回レポートの最後で唐突に「isoイメージファイルは、ファイルシステムから認識できるデータを対象にしています」と書いて終わってしまいました。今回は、この説明の続きから始めます。
- isoイメージファイルのisoとは、もともとCD-ROMの論理フォーマットである ISO 9660 から来ています。ISO 9660 はWindows, Linux, MacOSなど各種OSのファイルシステムから読めるデータをCD-ROMに格納するフォーマットの規定です。つまり isoイメージファイルの対象はファイルシステムから読めるデータCDなのです。
- 現在の光ディスク用ファイルシステムは ISO 9660 を拡張したUDF(Universal Disk Format)(*1)になっていますが、イメージファイル化時の拡張子は iso を使うことが多いです。
- ここでお気付きかと思いますが、前回説明したようにデータCDはシングルトラックです。UDFでそう決めているということですね。よって isoイメージファイルはシングルトラックのみ想定しています。マルチトラックであるオーディオCDは isoイメージファイルにできないのです。
Figure 1 : トラック数とisoイメージファイル化
CD内のデータはアプリケーションが判断する
- すると「あれ? オーディオCD内のデータはファイルじゃないの? OSで読むからソフトで再生できるんじゃないの?」という至極当然の疑問が出てくるでしょう。
- 確かに各アプリケーションがCDデータを読む手段(デバイスドライバやAPI)はOSから提供されていますが、そのデータの内容についてはアプリケーション自身が判断しています。
Figure 2 : アプリケーションのCDデータ読み込み
- Figure 2のように、データCD内のUDFデータを音楽再生アプリが読んでも、想定しているPCMデータではないため使えませんが、それを読んだのがファイラアプリならば、UDFデータを構造情報付きファイル群として扱うことができます。
- またオーディオCD内のマルチトラックデータは、UDFに準拠していないため、ファイラで扱うことはできませんが、音楽再生アプリはマルチトラックのPCMデータとして読み込み、音楽再生/処理を行うことができます。
ならばトラックの情報とデータをペアにする: cueファイル
- 音楽再生アプリはCDからデータを読む際、データ領域内のトラック位置情報をTOCから入手しています。音楽再生アプリはCDからPCMデータを読み取って再生はしても、あくまでデータを順番に処理しているだけで、それがどのトラックのデータなのかはTOC情報との照合で判定しています。
- するとイメージファイルから情報を読む場合、とりあえず複数トラックを含むCD内のデータ領域をバイナリデータとして抜き出し、トラックの位置がどこにあるか照合する情報とペアで扱えば良いことになります。それが bin と cue ファイルの組み合わせです。
- bin(binary)ファイル
- 理屈抜きでCDのデータをbinaryファイルとして抜き出したもの。拡張子".bin"は binaryの意味。
- cueファイル(*2)
- ペアになるbinaryファイルと各トラックの開始時間が記入されたテキストファイル。
- アプリケーションで指定するのは、このcueファイルであることが多い。
Figure 3 : binファイルとcueファイル
仮想ドライブアプリでCDと見なす...いや、もう必要ない
- 作成した"iso"又は"bin+cue"のイメージファイルは仮想ドライブアプリでマウントし仮想的なCDとして利用します。
Figure 4 : 昔のやり方...仮想ドライブアプリとイメージファイル
- ですが...実は大抵の音楽再生/動画再生アプリ(*3)は、cueファイル(+紐付けられたbinファイル)やisoファイルを直接読み込む機能(*4)があり、仮想ドライブアプリを必要としなくなっています。
- またWindows 8以降、エクスプローラ自身がisoファイルのマウント機能を持つようになったため、ますます仮想ドライブアプリは不要となりつつあり、イメージファイルは使いやすくなってきたと思います。
Figure 5 : 最近のイメージファイル運用
次回こそはマルチセッションの話を
- isoとbin+cueの説明で今回は終わってしまいました。しかしCD-EXTRA等を理解するにはマルチセッションの知識が必要です。次回その話に入りたいと思います。
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Notes
- CD-ROM以外にも、CD-R/RW/DVD/BDと光学メディアは、記録方式とその容量が拡張され続けていますので。
- cueは"キュー"。何かを始める合図やきっかけ。撮影開始の掛け声"キュー!"と同じです。
- DVDは暗号化されていますが、構造化されたデータです。つまりisoイメージです。
- iTunesは読めませんが、イメージファイルを使おうとする上級者が、iTunesに拘る必要も無いでしょう。
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